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エコバッグに入りきらなくてやっぱ下さいと言う時の気まずさがこのブログのコンセプトでは別にないです。
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2月~3月で買った音楽CDたち。
春なので、ちょっと真面目に書きました。
一応知名度順に並べており、おしなべて聴きやすい順となっております。


Radiohead / King of Limbs

イギリスの国民的バンド、レディオヘッドの8thアルバム。リリースはHostlessより。
全8曲37分と、彼らにしてはコンパクトな内容です。
前作「イン・レインボウ」はポップでスイートなメロディと
苦悩と苛立ちにまみれたトム・ヨークの思想がかみ合ったような美しい作品でしたが、
果たして今作はダブステップ、あるいはフライング・ロータスなどグリッチからの影響が散見され、
なんといいますか、灰色ミニマルという趣を感じます。
よく言うと期待通り、悪く言うと想像の範囲内に収まってしまっている、といったところでしょうか。
イン・レインボウやキッドAで受けた衝撃はありませんでしたが、美しい作品だと思います。

The Strokes / Angles

NYのガレージ・ロックバンド、ストロークスの4thアルバム。RCAからリリース。
3rdに続き賛否両論、ピッチフォークでは
「ヴァースとコーラス、歌詞と演奏、意思と行動などあらゆる箇所で断絶によりふらついている」
と評価され、ウチの弟も「ストロークスはオワコン」などといってますが、
ボクは実のところ気に入っております。
確かにピッチの言うようにストロークスは巷をときめくローファイバンドたちのように
過去を参照にした雑多なサウンドを鳴らすにはあまりにもスマートでカッコよすぎたのかもしれません。
しかし3rdと同様ニックのテクニカルなギターがやや鼻につきますものの
やはりこのストロークス節にはワタクシ抗えないものがあります。

Toro Y Moi / Underneath the Pine

サウス・キャロライナ州のチャズ・バンティックによるプロジェクト、トロ・イ・モアの2枚目。
Hostlessからリリース。
いわゆるチルウェイヴの中心人物ですが、新作の内容は従来の路線にソフトロック的なものも加えられ、
より甘くロマンチックに。アイスクリームの上にハチミツをかけたような印象です。
ともすれば甘すぎてくどい仕上がりになってしまいそうに濃厚なのですが、
例えば、そのアイスがチョコ味でしたらダメだったと思うんです。バラバラになっちゃって。
でもこのアイスはヴァニラ味で、ハチミツとの相性は良好。違和感なく溶け込んでます。
そんなチルウェイヴとソフトロックの相性の良さを新作に組み込んだトロに敬礼です。
そしてなにより、アートワークが物凄いですね。

Cloud Nothings / Cloud Nothings

クリ―ヴランド出身の4人組、クラウド・ナッシングの1st。Carpark Recordsからリリース。
ウィーザーとスーパーチャンクとフガジとロンドン・パンク、つまり久々の155km/hな剛速球です。
19歳の中心人物ディラン・バルディの若さから来るのでしょうか。
瑞々しくてエモーショナル、弾力があり焦燥感に焦がされ切ない全11曲27分です。
ボクの中ではこれこそが青春エモと言えるのかもしれません。
チルウェイヴとレトロポップで溢れる夢見の2011年にこんなバンドが出てくるとは想像してませんでした。

J Mascis / Several Shades of Why

USのバンド、ダイナソーJr.のヴォーカル、Jマスシスのソロ。リリースはSub Popから。
ダイナソーのフロントマンのアルバムというイメージは捨ててお聞きください。
ただひたすらにアコースティックギターの美しい旋律が続くフォークアルバムです。
やはり同じ西海岸だからなのでしょうか、ダイナソーJr名義でも感じることなのですが、
やはりどことなくニールヤングの影が。
モリゾーとキッコロみたいなクリーチャーであしらわれたアートワークに書かれたタイトルは
ソニックユースの姐さんキム・ゴードンによるものなんだそうです。なんだそれ。

Kurt Vile / Smoke Ring For My Halo

フィラデルフィアのSSW、カート・ヴァイルの4thアルバムです。Matadorよりリリース。
まずはタイトルがカッコいいですね。光輪に見立てた煙草のリングとはなかなか洒脱な。
そして中身も実にボク好みでした。
変則チューニングを使ったかなり捻ったコード進行のサイケフォークアルバム。
なのですがそれを感じさせないほどに実にポップに違和感なくまとめられています。
いわゆるテクニック云々ではない、本物の天才なのかもしれません。かなりの頻度で愛聴しております。
フィラデルフィアの乾いた土の香りを感じることが出来るアルバムです。

The Streets / Computers & Blues

ロンドンで活動するマイク・スキナーによるザ・ストリーツの5thにしてラストアルバム。
Warner Musicよりリリースです。
酒とマリファナとゲームと女の子との遊びと空虚で飾られたUKの若者の日常生活が語られた1stアルバム「オリジナル・パイレート・マテリアル」はヒップホップ界のヴェルヴェット・アンダーグラウンドとまで呼ばれ、
ボクもまた歌詞カードが擦り切れるまで聴き込みましたが、この度のラストアルバムはそのスタイルを彷彿とさせます。
マリファナを吸いながら彼女の車のルーフで夜空を眺める男の話だったり、グーグル検索に惑わされる話、会ったこともないスカイプ上の女性に恋する男の話、毎日街に出てただひたすら酒を飲む男の話。
そんな2011年の若者生活をUKガラージに載せ、相変わらず気だるい声でラップしています。
最後を飾るに相応しい、この上なく素晴らしいラストアルバムだと思います。

前野健太 / ファックミー

日本のSSW、前野健太の3rdアルバムです。リリースはRomance Recordsより。
どうしようもない若者達の虚しい日常生活を描くというザ・ストリーツの文学性は
この前野健太と後述するS.L.A.C.K.によって日本に導入されたように思います。
そして当然ながら、10年前にロンドンで作られた英語の「オリジナル・パイレート・マテリアル」より
今年に日本で作られた日本語の「ファックミー」により多くの共感を感じることが出来ます。
このアルバムに出てくるのは1日中畳の上でゴロゴロし、ヒマだから彼女とセックスをし、ユニクロを着て1杯120円のコーヒーをすすりに出かけ、深夜バスを降りた直後に京都タワー地下の大浴場に入ることに幸せを感じる若者の話です。それが生暖かい前野健太の声によってギターとともに歌われます。

S.L.A.C.K. / 我時想う愛

日本のヒップホップ、S.L.A.C.K.の3rdアルバム。高田音楽制作事務所よりリリースです。
1stの「My Space」を聴いて以来ボクは音楽と酒とスケボーと女の子を軸にして板橋区をゆるーく生きる彼のことを
日本のマイク・スキナーと重ねて考えてやまないのですがこの新作でもやはりそのゆるい日常は健在です。
そしてタイトルの通り、ピアノなどがあしらわれたトラック群は甘くメロウ、ソウルフルですらあります。
以前、なにかの雑誌のインタビューで彼が「ヒップホップをジャズ並みに聴かせたい」といった趣旨の話を
していたと記憶しているのですが、そういう意味ではかなりこのアルバムは近いものをもっております。
2011年東京を代表するアーバン・ミュージックのひとつになり得るのではと思います。

Moritz Von Oswald Trio / Horizontal Structure

ベルリンを拠点とするテクノのスーパーグループ、モーリッツ・フォン・オズワルト・トリオの2nd。
Honest Jon'sより発売です。
まさにベーシック・チャンネルとサン・エレクトリックの融合といいますか、ダブとアンビエント。
サン・エレクトリックの光がゆらめくさまを感じさせるあのシンセをバックに
ダブという密林の中をパーカッションとベースがうねる実に呪術的な全5曲70分となっております。
クオリティは随一。視界を根こそぎ変えるほどのパワーを持ち合わせている1枚かと思います。
これを聴きながら上野動物園のパンダを観ると、やたらと凶暴性が目に映るんじゃないでしょうか。

Nicolas Jaar / Space Is Only Noise

ブルックリンのテクノDJ、ニコラス・ジャーの1st。Circus Companyよりリリース。
リカルド・ヴォラロヴォスの後継者と巷で呼ばれているとのことですが、いやはやどうして。
ミニマル・テクノとダブとジャズを基調にしたトラックは洒脱でダウナーです。
こういう音楽とアニコレが同じブルックリンということに改めて驚きを感じますね。
こんなに早くジェイムス・ブレイクに並ぶダンス・ミュージックが登場するとは思ってませんでした。
個人的な嗜好もあり、こちらのほうが上を行く気がしないでもないです。ダビーでドープ。


Julianna Barwick / The Magic Place

NYで活動するジュリアナ・バーウィックの2ndアルバム。リリースはAsthmatic Kittyより。
歌詞もリズムもなく、深いリヴァーヴをかけた声を重ねて延々とループさせるという
かなりアンビエント/ドローンめいた作品です。
ともかく荘厳かつ強烈な光を感じます。教会音楽とも違う、この透明度の高さたるや。
天気がいい朝にコーヒーを飲みながら聴くとか、そういう類の音楽ではないです。
聴くなら、山がいいですね。南アルプス、しかも農鳥岳以南です。
風と水と緑とバーウィック。それでもマジック・プレイスにはなお届きませんでしょうが。

Tim Hecker / Ravedeath,1972

カナダ・モントリオールの電子音楽家ティム・へッカーの8作目です。リリースはkrankyより。
レイキャビックの教会で録音した本作はオルガンの音や天井高く響いた音響など、
荘厳な雰囲気につつまれております。さすが音響の職人といったところでしょうか。
教会音楽に近いという意味では上記のバーウィックもそうでしたが、こちらはもっと閉所恐怖症的。
同じモントリオールのロックバンド、ゴッドスピード・ユー!のような、圧迫的な強迫観念があり、
そちらになにやらティムのエモーショナルな部分も感じ取ることができる作品のように感じます。

Deaf Center / Owl Splinters

ノルウェーのピアノ&チェロ奏者によるドローン・デュオの2枚目。typeよりリリース。
上記2枚とはまたまったく違うドローンです。一言で申し上げますならば、闇であります。
暗闇の蠢きのようなノイズと孤独なピアノと不穏でありながらも時折美しく弾かれるチェロが、
ポスト・クラシカルとドローンの間を実にうまくつなぎ合わせており、
結果として暗くも美しい雨夜の森といった趣の、実に心象的な音楽としてボクの胸を打ちました。
ドローン作品のなかでは珍しく一種の展開あるいは物語性があり、あっという間の43分であります。

Ketil Bjørnstad, Svante Henryson / Night Song

上記の二人ではないのですが、偶然にも同じノルウェーのピアノ&チェロ奏者による作品。
リリースはECMから。ECMらしい、実に静逸で美しいポスト・クラシカルであります。
まるで視界のものが粛々と静けさで埋まっていくような印象を受けます。
専ら最近の勉強時間におけるBGMであります。
4曲目は初めて聴いた時、ふと目頭に熱いものを感じました。不思議な音楽です。
今改めて聴きましても、心に強く訴えるものをこの曲には感じます。なんと美しい曲でしょう。

Penguin Cafe / A Matter Of Life...

ペンギン・カフェの1stアルバム。リリースはPenguin Cafeから。
80年代に活躍した室内音楽集団、ペンギン・カフェ・オーケストラというグループは
中心人物であったサイモン・ジェフスが1997年に脳腫瘍で他界して以降、活動を停止していたのですが、
この度サイモンの息子であるアーサー・ジェフスがバンマスとなり、活動を再開したということです。
携帯のメールアドレスにも引用しております通り、私大変このグループに思い入れが強いのですが、
それだけにレコード屋で偶然見つけた際は、大きな驚きとともに不安にも思いました。
巷に溢れる安易な再結成・リメイクブームと同じ内容に仕上がっているのではないか、と。
嗚呼、ペンギン・カフェにもついに商業主義の魔の手が伸びてきてしまったんじゃないだろうか、と。
杞憂に終わったことに感謝しながら毎日聴き入っております。
オリジナルPCOを基調としながらも、どこか新しい風があります。
ペンギン・カフェ・オーケストラの復活という捉え方ではなく、
新しいグループ、ペンギン・カフェのデビューアルバムとして捉えております。
アートワークも素晴らしいですね。
ペンギンと裸の少年、これはサイモンとアーサーなのでしょうか?
ともかく、嬉しいの一言です。



しかし16枚…3万以上も使っていたとは思わずホイホイ買ってしまいました。
4月は控えましょうね。
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